●後遺障害とは
後遺障害とは、交通事故により傷害を負い、身体機能に障害が残った場合に、治療してもこれ以上回復が見込めない状態のことをいいます。医師から後遺障害の診断を受けたら、傷害に加え、後遺障害の損害賠償を請求できます。
後遺障害は、症状の重さに応じて、1級から14級までの等級に分かれており、逸失利益や慰謝料は、等級に応じて算出されます。
●後遺障害による逸失利益
<逸失利益の計算式>
年収×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
【計算例】
症状固定時の年齢が50歳で年収500万円の男性サラリーマンが傷害を負い後遺症により労働能力が35%低下した場合
500万円×0.35×11.2741=19,729,625円
この場合の逸失利益は、1,972万9,625円円となります。
※労働能力喪失率は、14級5%、13級9%・・・、1級100%というように、等級に応じて決まっています。
※50歳から67歳までの就労可能期間17年のライプニッツ係数は、11.2741
※稼働年数17年、生活費は控除しない
●後遺障害慰謝料
後遺障害事故の慰謝料は、後遺障害等級を基準に算定されます。この等級が1級違えば、支払われる慰謝料に大きな差が出ますので、最初の等級認定が重要です。
なお、この慰謝料は、被害者が治療のために入院ないし通院したときに支払われる入通院慰謝料とは別に支払われます。
保険会社は、おおむね、下記の表の①自賠責保険の支払基準と③弁護士基準の中間あたりの金額を提示することが多いようですが、中には①の自賠責保険の基準より少しだけ多い程度の慰謝料を提示してくる保険会社もあります。
保険会社の提示額は裁判所の基準額に比べて低いことが多く、特に重度の後遺障害が残った場合などには、実際に訴訟を提起した場合に認められる慰謝料の額に比べて、数百万~1,000万円もの差になることがあります。
【参考例】むち打ち症の場合(後遺障害等級:14級9号)
下記の表より、裁判所の基準では、110万円を請求することができますが、保険会社は、40万円程度の低い金額を提示することがあります。
後遺障害等級 | ①自賠責保険基準 |
②任意保険基準 (目安) |
③弁護士基準 (裁判所基準) |
要介護の第1級 | 1,600万円 | ||
要介護の第2級 | 1,163万円 | ||
第1級 | 1,100万円 | 1,850万円 | 2,800万円 |
第2級 | 958万円 | 1,450万円 | 2,370万円 |
第3級 | 829万円 | 1,150万円 | 1,990万円 |
第4級 | 712万円 | 850万円 | 1,670万円 |
第5級 | 599万円 | 750万円 | 1,400万円 |
第6級 | 498万円 | 650万円 | 1,180万円 |
第7級 |
409万円 | 550万円 | 1,000万円 |
第8級 | 324万円 | 450万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 350万円 | 690万円 |
第10級 | 187万円 | 250万円 | 550万円 |
第11級 | 135万円 | 200万円 | 420万円 |
第12級 | 93万円 | 150万円 | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 65万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 45万円 | 110万円 |